ドライ・ストーン・ウォーリング(英国式石積み)を用いた庭づくり

ドライ・ストーン・ウォーリングを用いた庭の施工は、米山庭苑まで。

ひとつの庭をつくるために、私たち庭師はさまざまな技術を用いています。植栽はもちろん、洗い出しや垣根づくりなど、書き始めるとキリがありません。それらの技術のひとつに、石積みがあります。ゾーンを区切ることができ、目隠しにも使えるため、本格的な庭づくりには欠かせない技術です。

ドライストーンウォーリングの施工で、石を加工中。

日本の伝統的な石積み工法は、分厚い不定形の石を用いる空積みという技術ですが、ひとつだけ欠点があります。それは、伝統的であるがゆえに、住宅や借景も伝統的なものが望ましいということ。洋風の外観の住宅が増えてきているいま、分厚い不定形の石の重厚感とマッチングさせることは、可能ではあるもののセンスや工夫が必要となっています。

洋風の住宅に合う石積みは何だろうかと考えたときに、思い当たったのが英国風の石積み。イギリスでは、外壁やベンチなどの庭の構成要素としてはもちろん、羊を飼う牧場から、住宅にまで、さまざまな用途に平板の石を用いるドライ・ストーン・ウォーリングという技術が使用されています。

米山庭苑の代表の米山拓未は、このドライ・ストーン・ウォーリングの技術を習得しに、イギリスはコッツウォルズを訪ねました。日本でもまだ数十人しか合格していないDSWAのLevel2という資格を取得。晴れて、庭づくりにも、この技術を導入できるようになりました。

資格取得時の様子はこちらの記事をどうぞ

イギリスのコッツウォルズ地方で見かけたドライ・ストーン・ウォーリングの石積み

ドライ・ストーン・ウォーリングを用いて広がる景色やメリット

現代の住宅に調和した風景が生まれます。

平らな石を積み重ねていくため、横の線が強めに出ます。現代の住宅は、曲線や斜めの線が少ないため、この横の線がよく馴染みます。

ドライ・ストーン・ウォーリングの技術を応用して作った門柱および塀の作例。日本の石を使い、色の調和にも配慮しました。

外壁だけではなく、門柱や階段、ファイヤーピットなど自由自在に施工

日本の伝統的な空積みよりも、自由度が高いことが大きなメリットです。外部空間はもちろん、現地では住宅にすら使われています。橋やアーチすらもつくることができるため、園路の設計にもバリエーションが出せます。また、みなさんが集ってお食事や歓談ができるファイヤーピットでホームパーティーをすれば、おしゃれで楽しい休日を過ごせます。

ドライ・ストーン・ウォーリングでつくったファイヤー・ピットの例。BBQやホームパーティーを最高の環境(後片付けも含む)で!

自然素材を自然に使うから、ナチュラルで無害。エコな庭づくりに。

可能な限り、素材と人の手だけでつくるドライ・ストーン・ウォーリングは、いまの時代に最も求められているエコで無害の技術です。
※本来はセメント等を一切使わない技術ですが、日本での施工では大きさや構造により耐震補強のためにごく少量のセメントを使用する場合がございます。

自然とのつながりを感じる暮らしを求める方にこそ、ドライ・ストーン・ウォーリングのお庭を

ナチュラルだからこそ、多くの生き物の住処にもなります。(ビオトープ)

隙間を化学物質で埋めたりしないからこそ、水はもちろん、空気やタネ、舞った砂なども隙間に入り込み、そこに生態系が生まれます。飛んできた種から生まれた植物や昆虫、小さな動物の住処にもなり、ヒトも地球の一員という最も大切なことに気付ける庭にもなります。

土塀は雨対策のために屋根が必要ですが、石積みのメリットは雨で影響を受けないこと。天場に植栽を施せば、生き物と共存するかわいらしい雰囲気をつくることができます。

ナチュラルだからこそ、自由度が高い。

セメントを多用せず、ほぼ自然の状態で石を積み上げていくドライ・ストーン・ウォーリングは、自由度の高さも大きな特徴です。庭のつくり変えで崩したり、移設したりすることも、セメントなどを用いてガチガチに作った石積みよりも、比較できないほどラクに作り替えられます。

ドライ・ストーン・ウォーリングで作った階段の例。壊す際に(壊すのは惜しいですが)重機は不要です

日本の庭の伝統的な技術を継承してきた米山庭苑だからできること

あくまでも一般論ですが、ドライ・ストーン・ウォーリングは、ガーデニングの本場、英国の技術です。この技術を持つガーデナーは、数が少ないとはいえ、日本国内に数十人はいます。対して、日本の伝統的な庭の技術を持つ庭師もたくさんいますが、ドライ・ストーン・ウォーリングの技術を持つ伝統的な庭師は、ほぼいない状態です。この双方のおいしいとこ取りをできるのが、私たち米山庭苑の最大の強みです。

たとえば、凝りに凝った本場英国式のガーデニングを始めてしまうと、日本の気候風土に合わないため、植物が枯れてしまうことがほとんどです。また、生き残っても太陽の強さがまったく異なるため、細く長かった茎がどんどん太くなり、思ったような軽やかさが出なくなります。

現代の住宅にマッチするドライ・ストーン・ウォーリングを用いながら、日本の気候や風土に合う庭とは何か。その答えを出せるのが、私たち米山庭苑です。庭に一歩踏み入れた時の印象を最も大切に、日本の伝統的な庭が培ってきた地割や耐震施工、植栽のレイアウト、垣根や洗い出しなどの技術の併用も考えつつ、お客様に最適な提案をいたします。

ドライ・ストーン・ウォーリングの石積み技術と日本の水の取り回しを融合させた例。
ドライストーンウォーリングに使用する石工道具

最後に施工する米山拓未から本音のひとこと。

公式サイトなのでマジメに語りましたが、本当のところでは、見た瞬間に格好良いと思いました。また、石積みは「壁」という固定概念を取り払ってくれたことも大きいです。イギリスは地震がほぼない国だからできることですが、住宅にまで石積みを取り入れていました。

また、自らで施工してみて思うことは、見た目以上に頑丈ということ。ひとつひとつは薄くて軽めの石ですが、その石がたくさん積み重なることで、橋や中空の階段すらつくれます。大柄なイギリス人男性が歩いてもビクともしません。 何よりも日本のいまの住宅にもすごく合いますし、施設規模の大きな庭から個人宅の小さな庭まで自在に取り入れることができるプランニング自由度の高さも気に入っています。

最初は一目惚れでしたが、知れば知るほど奥が深く、同じ島国だからかどこか日本の庭にも通じるところがあり、どんどん施工したいと考えています。

人におすすめする以上、自分がとことん好きでなければなりませんが、私はドライ・ストーン・ウォーリングの魅力に取り憑かれてしまいました。そして、何よりも暮らしがおしゃれで、エコで、楽しくなる技術です!ぜひ、あなたのお庭をドライ・ストーン・ウォーリングで!

後ろが山でも住宅地でも合うのは、自然工法のドライストーンウォーリングならでは

庭づくり・管理、大小に関わらずお気軽に

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