自然素材の竹垣と竹塀の製作〜サステナブルな庭づくりの米山庭苑〜
柔らかさ、力強さ、表情、味わい。
天然素材のポテンシャルを引き出します。
なかなか出会うことができない、自然素材の竹で垣根や塀、フェンスをつくる庭師や造園業者。たとえ見つかっても、レベルによっては、「その種類はできない」「そんな規模はできない」となることもあります。私たち米山庭苑では、日本に現存するあらゆる竹垣・垣根を、どの規模でも作ることが可能です。主な施工エリアは神奈川県南東部(横浜市、逗子市、鎌倉市、葉山町、横須賀市、三浦市、藤沢市)。その他のエリアは内容によって応相談となります。基本的に、プラスチックなどフェイク素材を使う人工竹垣、人工竹塀、人工フェンスの施工はお受けしておりません。ご了承くださいませ。
自然素材の竹を使って竹垣、竹塀、フェンスを作る際の注意点
青竹を使ったものは、基本的に材料の品質が安定している冬の施工となります。夏場の竹は土中の水分を吸い上げていることが大きな特徴。水分が多すぎるため、せっかく施工しても腐りやすくなります。耐久性は、おおよそ3〜5年。性能が格段に落ちてしまうため、心ある業者はよほどの理由がない限り施工しません。もし、住宅の竣工やお店のオープンなど、どうしても夏場に竹垣が必要な場合は、ご相談ください。冬場に狩った竹を天日にさらして作られた晒竹や黒竹を使った竹垣を提案いたします。
自然素材の竹と人工竹(プラスチックなど)の違い
風合いの良さ、経年劣化の良さ
竹の表面には微細な凹凸があり、柔らかく光を反射しています。施工してからしばらくは上品な緑色をしていますが、徐々に朽ちていくことで、上品な煤竹色へと変化します。この経年変化を楽しめるところも、自然素材の良さ。毎日見ていると、天候によっても見え方が違うことに気付くことでしょう。
施工単価とメンテナンスの必要性
わかりやすい例では、割竹を全面に用いる建仁寺垣や御簾垣の場合、施工単価は自然素材を「100」とすると、人工竹のものは「130〜170」程度でしょうか。ただ、自然素材の竹を用いたものは、通常で7〜10年に一度は掛け替えなくてはなりません。数十年単位でのランニングコストだけを見れば、人工竹は格安になっていきます。
※米山庭苑では、柱の材料や天端に瓦を施工するなど、耐久性を増した竹垣、竹塀、フェンスの提案と施工を行っています。下記、施工例の中にも実際に作成したものがあります。ぜひ、ご覧ください。
遮蔽、透かし、間仕切り、用途に応じてカスタマイズが可能
オプションで耐久性を上げることも可能です。どうしても土に接している部分が腐食してくるので、竹垣の下部に石積みをしたり、柱の中に鋼材を入れたりします。屋根を掛ければ、更に耐久性が上がり、15~20年持たせることも、当社の技術では可能です。これまで、さまざまなご要望に対応してきた実績が多数ありますので、まずはお気軽にご相談ください。
たとえば、米山庭苑が施工した鎌倉の松原庵では、下は80cmは透かしで、上は遮蔽にした建仁寺垣と四ツ目垣を施工しています。敷地内に入ったテラス席では、建仁寺垣で遮蔽と間仕切りを実現しました。このように、お客様のご希望を細かくお聞きし、明るさや景色をコントロールすることで、建物と庭の両方に良い効果をもたらす空間作りに寄与します。
※米山庭苑の技術力を松原庵でご覧いただけます。お近くの方は、施工前にぜひご覧ください。
主要施工エリアでは、規模の大小は不問です。まずはお気軽にご相談ください。
米山庭苑では、竹垣や竹塀の製作は、神奈川県南東部(横浜市、逗子市、鎌倉市、葉山町、横須賀市、三浦市、藤沢市)をメインエリアにしています。これは、移動費用や移動時間が、お客様のご負担になりにくいエリアだからです。神奈川県南東部(横浜市、逗子市、鎌倉市、葉山町、横須賀市、三浦市、藤沢市)エリアでは、「ここにだけ竹の目隠しがほしいんだけど」といったご要望も承っています。その他のエリアでは、どうしても移動費用や移動時間をどうするかという問題が出てきますが、規模等により施工可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。
素材を大切に使う文化と技術の伝承へのサポート
竹は、余すことなく使える素材です。穂や枝は竹穂垣に、幹は割ってさまざまな竹垣に使います。また穂は、まとめることで箒(ほうき)にもなります。いまや世界でも認められている「もったいない」文化ですが、本来の庭づくりは、余すことなく素材を使って作るもの。私たち庭師は先輩たちからその手法を学んできましたが、近年、自然素材を使った施工現場が激減しています。なかなか大きな土塀や池などは作れませんが、毎年のように生えてきて伐採しなければならない竹については、荒れた竹林整備などの社会課題の解決につながるため、次世代に技術を伝承していきたいと考えています。竹を扱う仕事は、ベテランから若手まで一斉に取り組むことが多く、良い技術伝承の場となります。施工依頼くださるお客様に、いつも感謝して施工しています。
いろいろ書きましたが…
竹を扱う仕事は、切る・割る・編む・組むなど、さまざまな技術が必要になるため、庭師としてとても楽しい仕事です。単に、好きですし、作りたい!という気持ちを常に持っています。
竹という素材が好き!
竹垣や竹塀、自然素材フェンスなど、竹を使った庭のパーツの製作事例
個人邸の庭の竹垣、竹塀、フェンスの施工例
建仁寺垣
上部の玉縁を付けず、上部に隙間を空け屋根瓦を乗せて、垣根の耐久性と瓦屋根の建築のバランスを考えデザインしています。
阿弥陀垣
ブロック上部に目隠しとして設置しました。ブロック土部と竹垣下部の間に腐りにくいよう、猫土台と呼ばれる板を入れています。柱を生け込めないので、ブロックにアンカーを入れて風による倒壊対策をしました。また、お寺の山門の横なので、格式を合わせて瓦屋根を乗せました。
大津垣
耐久年数の大幅な改善のために、見た目の美しさが損なわれないよう心掛けて設計しました。柱を石柱として、胴縁はステンレス製で竹を編んでおり、屋根にはイペ材を掛けていますので、自然素材でも20年の耐久性がある竹垣となっています。また現代住宅にもマッチするデザインなので、街並みにも調和します。
黒穂垣
古民家の外観とマッチする素朴なイメージの穂を用いた竹垣です。オーソドックスな形ですが、黒穂を使うことで、モダンで高級感が出ます。穂の下部に石材を敷くことで、耐久性を上げています。
建仁寺垣
茶室と住居との結界の竹垣です。敢えて主張しないオーソドックスな5段胴縁の建仁寺垣です。
御簾垣(みす垣)
住宅の坪庭の背景としての垣根です。横のラインを強調した、シンプルですが品のある竹垣です。
金閣寺垣
住宅の玄関前の垣根ですが、隣家との境には建仁寺垣を、駐車スペースとの間には、透かし垣の金閣寺垣を設けました。シンプルな竹垣だけに、結びの位置や使用する竹の太さなど、野暮ったくならないように工夫しています。
割竹塀
現代のモダンな住宅にも合うように縄などは使用せず、シンプルに化粧釘で割竹を留めて、シンプルがポイントです。現代の様々なデザインの住宅にも設置できる竹垣です。
店舗や施設、寺社仏閣に施工した竹垣、竹塀、フェンスの施工例
四ツ目垣
お寺の主庭の入口に設けた四ツ目垣です。木戸は当社オリジナル製の手作りの物を取り付けしています。四ツ目垣は竹垣の中では最もシンプルですが、間の割り方、寸法などがかなり難しく、ただの竹垣フェンスにならないように、美しい割間で仕上げています。
建仁寺垣+四ツ目垣
店舗入口の門から敷地の境界の仕切りとして設置しました。すべて隠してしまう建仁寺垣ですと、門と合わさり、圧迫感がありますので、下を四ツ目垣にしたことにより、軽くなり調和がとれたデザインとなりました。オーソドックスな垣根の組み合わせだからこと、街並みに溶け込んだ竹垣フェンスになりました。
ひしぎ垣
店舗客席のパーテーションとして設置しました。1本の丸竹をノミで丁寧に叩きながら1枚の板にしていく「ひしぎ」の伝統技術を用いた竹垣です。耐久性を考慮し、柱にイペ材を使用したので耐久年数は15年位です。シンプルで現代住宅にも合います。
割り竹塀
細長く距離がある店舗アプローチに沿わせる塀ですので、割竹を化粧釘で留めるシンプルかつ軽やかなイメージで設計しています。
奥に向かって上り勾配がついていますので、少しずつ段差を付けて入口まで続くように工夫しています。
阿弥陀垣
店舗入口脇の塀で、網目の美しい竹垣フェンスがポイントになっています。耐久性を考え、全てイペ材でフレームを作っていますので、20年位は持ちます。シュロ縄を使った結びがないのが特徴で、スタイリッシュなイメージにも合うデザインです。
大徳寺垣
お寺の主庭の背景としてデザインしました。日本では桂垣と並んで大変難しい技術が必要で、作成に時間を要しますが、竹穂のさばきのラインや揃った節が繊細で美しい竹垣フェンスです。また、柱をちょうな鉋仕上げにし、格式が高いので、お寺などの庭空間にとても合います。
杉板+さらし竹塀
店舗入口の両サイドにデザインしました。杉板の木目の美しさと等間隔に縦ラインに入れた晒竹(さらしたけ)がポイントの竹塀フェンスです。
様々な庭空間で効果的に使われる小さな垣根(裾垣)の施工例
鉄砲垣
玄関脇の目隠しの垣です。立子の太さや本数のバランスが難しい垣で、しゅろ縄の美しい結びが特徴です。
黒穂垣
店舗の待合いとの仕切りに用いた垣です。門のある入口ですので、格式高く、瓦を乗せ、柱を釿(ちょうな)鉋仕上げにしています。黒穂も丁寧に下ごしらえし、穂の流れるラインが美しいです。
清水垣
庭と園路の仕切りとして設けました。垣根の幅が狭いので、細い篠竹を使い、バランスを考え、しゅろ縄をかけないデザインにしましたので、現代住宅にも合います。
ひしぎ垣+黒穂垣
玄関の仕切りとしての垣です。柱を釿(ちょうな)仕上げとし、二種の異なる垣根を組み合わせてデザインで、純和風の住宅との調和を取っています。
阿弥陀垣
ヨーロッパ風建築の和室と庭との仕切り垣です。建物との調和を考え、縄の無い阿弥陀垣を、檜(ひのき)フレームのブラック塗装仕上げにした、モダンな仕上りです。
鎌倉市重要建築物指定の庭の施工例
黒穂垣
指定建築物の庭ですので、長く残る事を考え、柱には耐久性のある栗の太めの柱を建物の大きさに合わせて選んでいます。釿(ちょうな)鉋仕上げで格式を上げ、上部は茶筅仕上げにて、昭和初期の建物との調和がとれるデザインにしました。
黒竹×レッドシダー竹垣
和モダンな住宅にもマッチするデザインで、レッドシダーに黒竹の四ツ目模様がモダンな竹垣フェンスです。
犬矢来風
お寺の水栓の目隠しを割り竹を用いて犬矢来風にデザインしました。多くの方が訪れるお寺と竹材の相性はとても良いです。
米山庭苑の竹垣・竹塀・フェンスについて
米山庭苑では、フェイク素材の竹垣フェンスをなるべく使用しないよう心掛けています。なぜならば、偽物はどう飾っても偽物でしかないからです。その上、プラスチックという素材は、環境負荷が高く、次世代に対する負債となります。米山庭苑では、庭の業界ではまだ進みが遅い、サステナブルな庭づくりをすでに実践。再生できる天然素材を用いた持続可能な社会・未来づくりに貢献する一助になる庭づくりを行っています。
伝統工法や自然素材を重視する米山庭苑ですが、一方で、人工的なもののすべてをNGとしているわけではありません。たとえば、震災などで倒壊する危険性があるものには鉄骨を入れたり、少量のコンクリートを使うこともします。また、人工的な素材でも、かつての庭の技術では実現できないものもあります。外構で施工されているカーポートの屋根やゲートを考えてみましょう。晴れた日は日照を確保して、雨の日は下を濡らさない屋根。あれだけの剛性を持ちながらも軽量で、手軽に開け閉めできるゲート。これらは、現代の暮らしに必要かつ、住宅のデザインともマッチしたものです。伝統的な庭づくりでは解決できない課題を見事に解決しています。
対して、人工素材の竹垣や竹塀、フェンスを見てみましょう。お客様がお金をかけてまで持続できない庭を作る意義はあるのでしょうか。そういった素材は長期でのランニングコストを謳っていますが、そうであるほど、長期間にわたって見る人に偽物の風合いを提供することになります。
もし、お客様が維持管理のラクさを追求されるならば、本物の価値観を持つ素材を用いて、そのニーズを満たすべきで、偽物を使う理由にはなりません。しかし、ホテルや旅館の露天風呂など、常に湿気のある場所には自然素材の竹で施工ができないため、施工環境をよく理解した上で、人工竹垣やフェンスを用いる場合もあります。可能と不可能を見極めながら、できるだけ自然素材を使うところが、私たち庭師の腕のみせどころと考えています。
庭業界ではまだまだ進められていないサスティナブルな取り組み、再生できる天然素材を使った持続可能な社会に貢献できる庭づくりを、米山庭苑では常に目指しています。