庭を通じて様々な場面で講師を務めています
地域を代表する庭師として、庭や地域の文化を次世代に。
米山庭苑では、「庭」という素晴らしい文化の伝承に関わる活動を行っています。具体的には、若き庭師たちが集まる日本庭園協会の連続講座を筆頭に、小学校などの教育分野や、近隣自治体のセミナーなどで講師を行ってきました。私たち庭師が先輩たちから受け継いできた、この日本の素晴らしい文化の「庭」を、できるだけ後世に伝承していければと考えています。
以下、代表の米山拓未による解説です。
横浜市内の小学校にて
地元の小学校からの依頼で、講師を担当しました。「仕事について」の授業で、庭師の仕事について解説するというものです。そこで、庭師の基本的な日々の業務はもちろん、庭の可能性は無限であることを伝えました。大切なことは、「職種に関係なく、自身に高い志があれば、国境やジャンルを超えて世界中の人々を感動させられる」こと。仕事はその最も大切な入り口なのです。
彼らの世代にもわかりやすいように、フランスでのセミナーの様子をスライド付きで解説しました。最後は私が考える人生で大切なこと、「ただ何となく生きるのではなく、自分が生涯を掛けてまで、やりたい仕事を見つけてもらいたい。そしてこの中から世界へ出て行く人材が出ることを願っている」ことを話しました。
「好きこそ物の上手なれ」ということわざの通り、何か目標を見つけたらすぐに結果が出なくても、必ず上達するものです。若い世代の未来は無限ですから、臆せずに何事にもチャレンジして行ってもらいたいと願うばかりです。
逗子市 住まいの教育セミナー 庭
「住宅と庭、住まいの庭の効果と必要性」をテーマに、様々な世代の方々にお話しさせていただきました。最近では、住宅の面積は以前と比べて狭くなり、駐車スペースを確保したら庭をつくる空間がほとんどなくなってしまうのが現実です。
しかし、そのわずかなスペースにでも、木を植えて木陰をつくるだけでも、涼しい風は流れます。家の周りをぐるりとコンクリートを打設している戸建の住宅を多く見かけますが、夏は日の照り返しで高温になり、窓を開けても涼しい風が入らず、エアコンを多用するという悪循環に陥ります。
小さくても、さまざまなジャンルの庭が作れるということを、当社の豊富な施工事例を見たり、地面がなくともバルコニーガーデンが可能な実例なども紹介させていただき、庭をつくることの効果を話しました。
住宅庭園では、住む人の日々の暮らしが豊かになる庭が大切であると考えていますし、人間が生活していく上で健全な住環境は重要です。新建材を多用してコンクリートで固めた日本の住宅が少しでも改善されて、次世代の若者達の時代には、日本の街並みの美しさが戻り、住む人の心が豊かになるような庭空間が増えることを願っていると伝えました。
日本庭園協会
日本庭園協会の庭園技術連続基礎講座にて、「古民家の再生と庭」をテーマに、建築家の上野まゆみさんとお話しをさせていただきました。古民家の庭づくりで一番心掛けていることは、新品で仕入れた材を多用して庭を構成しないことです。そうしてしまうと庭だけが取って付けた物になり、古民家を庭の調和が取れず、違和感のある空間になってしまうからです。
例えば、古民家再生の現場では、長年経って埋もれている石などが、掘ると多く出てきます。それらを洗浄してまた組み直したり、古民家の時代と合わせて古瓦や古材などを使用すると、経年変化が相応し、より一層風景に溶け込む庭になります。また外構は、天然素材の木や土、竹などを用いて設計することが必須となります。古民家再生と同じで、そこにある古材に新しい命を吹き込み、リガーデンすることが大切であり、まさに『庭屋一如』な空間になることでしょう。
古民家再生の庭は、当社の推奨するサスティナブルな取り組みに通じるものがあり、これからも力を入れていきたいと考えています。講座の最後には当社作庭の現場を受講生に見学していただきました。
歴史ある日本庭園協会の講座で上野さんと一緒にお話出来たことは、大変光栄なことでしたし、私の拙い仕事の経験が若い造園人のためになれば幸いです。
これからも、庭の文化の継承に努めてまいります。
米山拓未