桜島だ。長渕だ鹿児島だ!
ラジオからは長淵がよく流れる。
仙巌園。
曲水の庭。
望獄楼。
やっぱ琉球の雰囲気だ。
知覧武家屋敷群。
西郷、佐多、森重、平山氏庭園。
マキの刈り込みが九州っぽい。
自分は旅先では大体地元民が集う女将の居る小料理屋に入る。
人見知りしないのですぐ打ち解けてしまう。
地元の話を聞きながら郷土料理なんて自分にとっては最高の贅沢だ。
でも宿は今時修学旅行生も泊まらない様な、1泊数千円のかび臭い所に泊まる。
その方が感覚が研ぎ澄まされる。
実は今回は庭がメインの旅ではない。
この仕事をして暫くすると日本を意識する様になりその頃からズッと行きたかった場所。
知覧の特攻平和会館だ。
戦争は何も生まないし、悲しみの連鎖。
1400人分の顔写真と遺書が展示してある。
自分は2人の文を読んだだけで十分だったし、しばらくその場を動けなかった。
戦友の遺骨を首から提げ、体にたくさんの弾薬を巻きつけての出撃前の写真。
最後の盃を笑顔で交わしている写真。
号泣しながら零戦につつじの花をくくる整備兵の写真。
みんな真実だ。
天皇陛下の為ではなく、家族や仲間、日本の為だろう。
景気回復ばかり考えている今の日本人や政治家達。
そんな事より、道端に生えている野草の可憐さ。
潔く散る桜に感じる情緒感。
弱い者を慈しむ武士の心。
そういう日本人独特の感性の方がよっぽど大事だ。
俺は昭和の時代にあの様な青年達がいた事を誇りに思うしスゴク嬉しかった。
自分は庭を通じて日本文化のすばらしさを少しでも若い世代に伝えて行きたい。
あの青年達のご冥福を祈ると共に、感謝の気持ちで一杯だ。